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オフィスの原状回復、どこまですればいい?

オフィスの転居には面倒な手続きが盛りだくさんです。法務局、税務局、社会保険事務所、労働基準監督署など役所への書類の提出や、取引先などへの移転案内、社内印刷物の作成など……。やるべきことだらけです。

そしてそれらに忙殺されてしまい、つい忘れがちなのがオフィスの原状回復です。持ち込んだすべてのデスクやチェア、ロッカーなどはもちろんのこと、照明、配線・電気設備、パーティションなど、変更した設備はすべて撤去して、元通りの状態に戻さなくてはなりません。

そこで今回は知っているようで知らないオフィスの原状回復に注目して、スムーズな退去をするための情報をご紹介します。

こんなに違うの!? 住居とオフィスの原状回復の違い

オフィスの賃貸契約には「消費者保護法」が適応されない

居住を目的とした賃貸契約の場合、「賃借人が賃貸人よりも弱い立場にいる」とみなし消費者保護法によって賃借人が守られているため、賃貸人からそれほど厳しく原状回復を迫られることはありません。

しかし法人として賃貸契約をした場合、消費者保護法は適用されません。もちろん契約にもよりますが、床、壁、天井、照明の交換などの原状回復費用は、自然損耗かどうかは関係なくすべて借主負担となります。

明け渡し日にご注意!

また気を付けなくてはならないのが明け渡し日です。契約期間終了日までに、原状回復工事を済ましておく必要があります。一般的に住居の場合、契約期間終了日当日に部屋を明け渡し、その後に原状回復工事が入ります。

しかし法人契約の場合、原状回復工事にかかる日数を考慮し、その前に明け渡さなくてはなりません。新しく入居するオフィスの契約日もそれに合わせる必要があり、タイミングを誤るとオフィスの荷物を別の場所に保管するという最悪のケースも考えられます。

原状回復で行うこと

オフィスの原状回復でやらなければいけないことは、壁、天井のクロス張り替え、再塗装。給湯室、トイレのクリーニング、設備の交換。賃借人が増設したパーティションやデスク、カウンターなどの撤去が挙げられます。基本的には契約書をもとに決定されます。

退去時にトラブルを起こさないために

原状回復とは、基本的に入居時の状態に戻すということです。すべてを新しいものに変えなくてはならないということではありません。この部分の認識の違いによって、退去時にトラブルとなるケースが多いようです。トラブルを避けるためには、入居時の契約時点でしっかりとお互いの認識を共有させておきましょう。

また原状回復工事を行う前にも、改めて賃貸人と契約書をもとに工事箇所の確認を行ってください。場合によっては、窓サッシを交換したり、間仕切り壁を設置していて元通りにすることは難しいケースもあります。そんな時は賃貸人と相談をして、そのままでよいか、元に戻すかを決め、やらなくてもよい工事までやらないようにします。

トラブルを起こさず気持ちよく転居するためにも、原状回復に関するルールをしっかりと把握し、契約書をもとに賃貸人と認識を共有させておくことを心がけましょう。